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 * ArmUZK - Keyboard & Mouse extender UZK on LPC214x
 *   by uratan! 2008.12.16
 *     revised 2014.9.13
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0.5mm ピッチ QFP のハンダ付け (鉛ハンダ)

CPU の LPC214x は 0.5mm ピッチの QFP です。 ここまで狭ピッチのハンダ付けは過去に経験が無かったため、コテで手実装 できるか不安だったのですが、結論的にはうまくできるようになりました。 (モノが揃うまでは、 ここ を読んでイメージトレーニングしてました)

道具はこんなもの等です。

時計用のルーペはなかなか強力です。装着すると両手が空きますので 覗いた状態でハンダ付けできます。 コテと顔がとても接近するので最初は怖いですが。

まずはチップの位置合わせです。

第一段階として、チップを塗装用マスキングテープなどに引っ着けて ハンドルしやすくし、位置出しし仮固定します。そしてルーペでよく チェックして、位置を追い込みます。
毎回テープを貼り直さなくても、テープを押さえて「張り」を変えることで 多少の微調整はできます。第二段階でも微調整できますが、 この段階で完璧にしたほうが楽です。 気に入らないならなんどでもやり直しましょう。

第二段階としてハンダ付けでの仮固定です。対角に位置する 2ピンを ハンダ付けしチップを固定します。 ここでもルーペでよくチェックして、気に入らなければ片ピンずつあぶって 微調整し、位置を完璧にします。

この後、全ピンのハンダ付けです。 下のアニメーションのような感じです。

無理やり理屈をつけると、以下のようになります。
  1. 普通のハンダ付け方法では、先にコテでピン・パッドを暖めておいて、 そこに糸ハンダをあててハンダを供給する。
  2. 糸ハンダを供給する意味は二つ、ハンダの供給とヤニの供給。 ヤニの量が足りないと、ハンダが粘っこくなり うまく広がらなかったり、 コテ先からの離れが悪くなって糸を引くようになったりする。
  3. 片面 16本をハンダ付けするのに、0.3mm径の糸ハンダだと だいたい 4mm ぐらいでハンダの量は十分。つまりピン一本あたり 0.25mm。
  4. しかし 0.3mm径の糸ハンダは、コテにあてるだけで だいたい 1mm ぐらい 吸われて溶ける。
  5. 以上のように、0.3mm の糸ハンダを使ってもハンダ量の微小制御ができず、 不可能なように思える。
  6. しかしながら実際には、最初のうちは溶けたハンダの大半はコテ先にくっつく。
  7. コテの突端は状態が不安定なことが多いので、突端ではなく、コテを 寝かせてコテの腹で 2ピンずつハンダ付けする。腹を使うことにより ハンダがくっつくコテの面積も大きくなる。 糸ハンダが余分に溶けないように、コテ温度はやや低めで。 また、ハンダはパッド手前で溶かして流す感じで。
  8. トータルのハンダ量から、糸ハンダを加えるのはだいたい 2回(4ピン)に 一回でいい。糸ハンダを使わないときは、コテ先に残っているハンダを ピン・パッドに吸わせる感じで。
  9. 事前にフラックスをドバドバ塗っておく。
  10. 一辺 16本のピンのハンダ付けが終わるまでは、ブリッジしようが リズム(ハンダ量)を崩さずにやり終える(ヤニが飛ぶ前に)。 この 1パス目は微少量のハンダをまず分配するイメージ。
  11. ブリッジしたところ、ハンダ付けが甘い所ほか、 全ピンをもう一度コテであぶる。 このときにはフラックスはドバドバ追加するが、糸ハンダは(基本的には) もう使わない。ハンダが大目のピンからもらって、薄いピンに移す感じ。
  12. どうしても取れないブリッジは、ハンダ吸い取り線で吸う。






0.5mm ピッチ QFP のハンダ付け (鉛フリーハンダ)

鉛フリーハンダにもトライしてみました。

        なるほど、これが鉛フリーね・・・。

とにかくコテ先・ハンダの表面の状態が鉛ハンダの頃とは雲泥の違いです。 どうも 「鉛には酸化防止効果が」あったらしいですし、 鉛フリーハンダは「ヤニとセットで一人前」みたいな感じですね。 ヤニが飛んだモノはハンダと思わないほうがいい。 そしてヤニは ほんとにすぐ飛んでしまう。
ハンダを意識するより、 むしろヤニの有無・状態をメインに意識したほうがいい ような感じです。 (いや鉛ハンダでも厳密には そうなんでしょうけど、 そんなにヤニを意識しなくてもよかったよね…)

というところで、現在模索中です。

ネット情報では、 ここ の鉛フリーに関する一連の読み物 (*2) が、私の印象にもっとも近いです。
また、 ここ には「濡れ雑巾などでの清掃の禁止」が記載されてます。 (ちょっと意味合いが違うかもしれませんが)



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そこそこいい状態のコテ先が作れた瞬間は 鉛ハンダとそれほど違和感なく作業できるんですけどねぇ。     (糸ハンダに含まれるヤニ(固体フラックス?)売ってほしいなぁ、粉末状で)

鉛フリーでの 1パス目と修正後
    (ハンダゴテ持ってから32年目、0.5mmピッチQFP 5個目、 鉛フリー 1週間目、鉛フリー+0.5mm は初めて)


・・・足の背面へのハンダまわりが悪いなぁ






0.5mm ピッチ QFP のハンダ付け (鉛フリーハンダ、模索結果)

鉛フリーハンダに関して いろいろ試して受けた印象は以下の通りです。

なお、使った糸ハンダは goot の Sn:96.5% / Ag:3% / Cu:0.5% の SF-A040x(0.3mm と 0.6mm)です。 ハンダを変えて融点やヤニの特性が変ると、印象がまた大きくかわるかも しれません。
また、コテのパワー設定は鉛ハンダの時と変えずにやってます。 これはもともとそういう高温設定だったということでしょう。大面積部分では さすがにパワーを上げましたが。

  1. 一口に「鉛フリーハンダ」といっても、銀の含有比率他によって 様々で、融点の低いもの(高価)と高いもの(安価)がある。
    特に制約がなければ、多少なりとも鉛ハンダに近い融点の低いものを 選んだほうが無難に思われます。 また、合金組成が異なるものを混合するのはあまりよろしくない …ように思うので、注意が必要かと思います。
  2. 液体塗布式のフラックスをいろいろ試したが、効き目は非常に弱い。 鉛ハンダの時のような「フラックス塗ればすべて解決」なんて 夢のまた夢。
    その代わり、糸ハンダに含まれるヤニがやたら強力に効く。
  3. そのヤニにせよ、効いている時間が短い。フラックスはさらに短い。
  4. スポンジで拭うタイプのクリーナーでコテ先のハンダを拭うことも、 コテ先の酸化(?)を促進するのかも。
  5. コテ先の、完全に酸化(?)して薄茶色になった部分には 二度とハンダがなじまないといっていいぐらいだ。 青みがかかっている部分はまだ大丈夫だが。
  6. コテ先の酸化(?)部分の面積はどんどん広まっていく。逆にいうと、 コテ先の調子のいい部分の面積がどんどん狭まっていく。(まあ当然か)
  7. 酸化(?)したコテ先はクリーナー系ではなかなか復帰しない。ここに再び ハンダをなじませるためには、ヤニに活躍してもらう必要がある。 つまり、コテ先にハンダを馴染ませるためにもヤニが必要。 コテ先にもハンダ揚げが必要ということ。
    初めての半田ごての頃、生銅のコテ先をヤスリでいじっては 半田揚げしていたことを思い出しました。{2013.5.18]

ハンダが溶けないのは、おそらく 酸化(?)により熱がうまく伝わらないためで、 むやみにコテの温度を上げないほうがよさそうに思います。 温度を上げればますます酸化を促進するでしょうし、 温度が低ければ、多少なりともヤニの寿命も長くなるでしょうし。

コテ先の激しく酸化(?)した部分を修復するためには、 ヤニに頼って糸ハンダをコテ先でドボドボ溶かすと とりあえず戻ります。 この前には、一度クリーナーでコテ先の焦げたヤニを落としておくと いい感じです。
で このドボドボのハンダをクリーナーで落とすと また酸化(?)が始まってしまうので、 当初は水のしずくを落とすようにコテを振って慣性で落としてました。 しかしながら これでは なかなかコテ先の状態が安定しませんし、 ハンダと時間の無駄が多いです。

というところで、とりあえず、こんな道具を鉛フリー用に追加しました。

鉛フリーでは、いかにコテ先やハンダ表面に ごく薄の ヤニ+ハンダ被膜をキープするか、にポイントがあるように思います。
ワイヤー式のクリーナーは、熊手ですくようにコテ先を掃除するものだと 考えます。(面で保持するわけではないが)被膜を残すしくみ なのだと思われます。
対象がある程度大面積であれば、どっかに残った被膜にあたれば ハンダが溶け始めヤニも供給され始めますのでかなり普通に作業できますが、 細かい部分を作業する場合にはコテ先にピンポイントで「調子のいい部分」を 作る必要があり、これがなかなか難しい。

で模索結果として コテ先の馴染み部分をいかに作り・キープするかですが、 以下のような手順に落ち着きそうです。

  1. コテを手に取る。
  2. スポンジクリーナーでコテ先をクリーン。
  3. コテ先に糸ハンダを多めに溶かしてコテ先をハンダ揚げ。
  4. ワイヤータイプのクリーナーで余分なハンダを軽く落とす。
  5. ハンダ付け作業する、する、する……
  6. 作業後、酸化防止用にコテ先に再度ハンダを盛り、コテを戻す。
とにかく酸化(?)が早いので、特に 4.から 5.は間髪をあけずに行います。 コテ先作りは無駄な作業なので、5.で作業する分量をなるべく多く できるように事前準備をしっかりやると気分いいです。
作業を開始してコテ先の状態がだめだとわかったら、さっさと仕切り直します。
(一言で言うと「コテ先もハンダ揚げしろ」「すばやくやれ」ですね)


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で本題の QFP のハンダ付けですが、コテ先のいい状態さえ作れれば 鉛ハンダと同等の手順でわりと普通にいけます。 無いよりはマシなのでフラックスも使用します。 (フラックス+ヤニのダブル攻撃)

細かいところをピンポイントに作業したいときは、 上の 5.でルーペで覗いている状態で コテ先の使いたい部分に またちょっとハンダを載せたりします。 (なじみを確認する感じ)

鉛フリーハンダは融点も高くハンダの広がりが悪いようなので、 2パス目は(ヤニ・フラックスが効いていることを確認した上で(*1)) じっくりあぶる感じがいいみたいです。

(*1) 2パス目ではヤニの効果が残っていることがほとんどないので、 1パス目に勝負をかけて しっかりあぶるのがいいかも

ハンダの粘度が高いせいでしょうか、コテ側に吸着されるハンダ量が 鉛ハンダよりもかなり多いように思えます。ただし、あっち側の方が 居心地がよくなった瞬間にドバァッとあっちに流れる場合もありますが。



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    練習台? 練習の成果?








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いろいろ追記 (2010.2.12)

ハンダ付け中はこんな感じだったらしいです。 (PENTAX Optio W80、インターバル撮影イイ!)


HAKKO DASH の 25W (の付け替えの細いコテ先) でも試してみましたが、 この 6mm の差で まったくだめです。 対象に熱がちゅるちゅる吸われてヒーターからの熱がおっつかない感じ。


ブリッジしたところのハンダをコテ先に吸い寄せるためには、

がポイントなようで…。






いろいろ追記 (2012.5.22)

ご愛顧ありがとうございます。

(*2)     とっくにリンクが切れてますが、半田ゴテのメーカーの ページだったか、半田付け作業を請け負う会社だったか…。確か、

『普段から「挟みハンダ」をしてれば 鉛フリーも鉛ハンダも同じだよ!』
みたいなことが書いてありました。
挟みハンダとは、対象にまず糸ハンダを当てておいて、その上からコテを 押し付ける、みたいなやり方だったと思います。経験が長い人なら (対象にあわせて)わりと自然にやっている動作ではあると思います。

お、Internet Archive に残ってましたね。 「鉛フリーの半田付けの秘訣」     記憶は だいたい あってたかな…






いろいろ追記 (2012.9.27)

そうそう、忘れてましたが ハッコーのコテ先リペアのペースト FS-100 も揃えてます。

そもそも鉛フリーハンダと これは何が違うんだ !? という疑問もありますが、 鉛フリーに対してはコテ先が荒れるのが早い気がしますので、 そんなに毎度毎度でもなく、まぁ気分転換として使ってます。






いろいろ追記 (2013.5.18)

半田付けの動画、来ました。ハッコーの ココ から
    ・引きはんだをしたい
    ・ポイントはんだをしたい
を たどると動画がたくさんあります。 (…はんだ ひらがな表記なんだ)

たいへん参考になります。 ただし撮影のためか すべての条件をいい方に振ってありますね。
たぶん…

・フラックスが じゃぶじゃぶ
・pin の周りに障害物がなにもない
・pin への助走パターンに余裕がある (レジストもないし)
・GND プレーンなど熱容量が変化する部分がない
・糸はんだが 0.6mm とすると pin ピッチは 1.0mm ぐらいか?
・コテは熱容量がでかくて しかもかなり高温設定 (私基準では)
私の目はサーマルモードに切り替えると熱・温度が見えるようになりますから (笑)。
    (練習用・演習用として 動画と この基板と chip をセット販売するべきだな)






いろいろ追記 (2014.9.13)

パワー調整はこんな感じです。


    uratan@miomio.jp
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